手漉きはがきができるまで

今回、漆の墨流し体験と活版印刷体験では、

私、neki・渡邉が、天神産紙工場で

漉いたはがきを使ってもらいます。


そのはがき漉きの工程を少しご紹介します。


手漉き和紙と言えば、

漉き舟から木枠で原料の入った水を

すくっている場面を想像すると思います。


でも、その作業に入るまでに、

原料の煮熟、晒し、チリ取り、打解、

後には乾燥、検品と、

他にも多くの工程があります。

届いた原料と煮熟の様子。
道にもくもくと蒸気が立ちのぼります。
原料を引き上げて、日光に晒します。
原料のチリ取りや原料と一緒に入れる
「トロロアオイ」の根っこを砕くのも
昔ながらの道具で手作業。


こういった作業を経て初めて、

紙を漉くことができるのです。


はがきは、1枚ずつ漉くのではなく、

10等分に分けられた「桁」を使い、

一度に10枚分を漉きます。

それを、通常の紙漉きと同じように

上へ上へと重ねて置いていきます。

枠は小さいですが、10枚分を均等に、

そして厚く漉くのはなかなか難しいです。


さらに1枚の面積が小さいために、

重ねた紙は塔のように縦に高くなるので、

均等に漉き、うまく置いていかなければ、

全体のバランスがくずれ、

紙に影響が出てしまいます。


ある程度の高さまで重ねた「床」は一度、

水をきるために上に石をのせて

しばらく置いておきます。


その後、他の紙と一緒に圧搾機でさらに水を切り、
もう一度水をかけて乾燥作業に入ります。

大きな紙だと台一面につき3~4枚ずつ張り、

三面を一周する間に乾くよう、

蒸気で台の熱さを調整しますが、

はがきは一面に80~100枚程度を

一枚ずつ、ぎっしりと張りつけます。

厚みがあるため、台を熱くすると

紙がはがれて反り返ってしまうので、

ほぼ自然乾燥。

午後に張ったものは翌日まで

剥がさずそのままです。

はがきの場合、漉くのは10枚ずつですが、

張りつける作業は1枚ずつなので、

実は乾燥作業の方が時間がかかります。


完全に乾いたら台から剥がし、完成です。



原料を煮る作業から完成するまで、

かかる期間は短くても約10日ほど。


実際に触って使ってもらえば、

手間がかかった分だけ、

機械で作る紙では変えられない

温もりや質感があることは

納得してもらえると思います。


まだまだ勉強中の未熟な職人ですが、

ここで生まれた紙を、いろんな方に、

たくさん使っていただきたいです。


活版印刷体験

https://uchikami.localinfo.jp/posts/6129469

漆墨流し体験

https://uchikami.localinfo.jp/posts/6011608



内子天神紙の市

紙と本から見つける、あたらしい豊かさ 2019.5.25(土)-26(日) 内子町五十崎 天神産紙工場の倉庫内にて 紙と本のイベントを開催します